今の便利さを一切用いず、その昔、あったような醤油を造りたい」。
そんな思いから「有限会社 魯山人倶楽部」と「湯浅醤油有限会社」が開発したのが「魯山人」の醤油です。かつて北大路魯山人が活躍していた大正~昭和初期をイメージし、その頃に合ったような醸造を試みながら製造しました。
醤油の主原料となる大豆と小麦は、「大地にある栄養だけで作物が育つ」「北海道開拓時代の自然豊かな土に戻す」との折笠農場(北海道)の考えから、畑に種以外は一切何も入れずに育てたもの。無農薬・無肥料という難しい自然農法によって育った素材は、まさに大豆・小麦そのものに力がある深い味わいになりました。
その奇跡の大豆・小麦に、北海道で自然農法で育てた米「ゆめぴりか」と五島灘の塩を用いて丁寧に仕込んだのが、この「魯山人」の醤油なのです。
記述によると、魯山人は関西の薄口醤油を好んでいたとかで、そんな彼の嗜好もあわせて、少し薄口醤油のような配分で醸造しています。ただ、他ではあまり例のない要素(自然農法で育てた素材)で造ったので、できあがったものは従来の醤油とは一線を画すものに。従来からある濃口醤油や薄口醤油の数値を遥かに凌ぐ値を示しています。曖昧な言い方で申し訳ないのですが、気持ちは薄口で醸造し、できあがったのは濃口。旨みはたまり以上と言うしか表現方法がありません。まさにノンジャンルな醤油ができあがったと言っても過言ではないでしょう。
一口味わうと、まず甘みが感じられ、醤油独特の辛さが後を追ってきます。
但し、その辛さは舌に残らず、口内でパッと消えます。雑味がなく、ナチュラルな風味は、まさに魯山人の美食を彷彿させるかのよう。かつて魯山人が発した「美味しいものを食べるのではなく、美味しく食べる」が実践できると思います。
<奇跡の大豆と小麦>
青森県のリンゴ農家 木村秋則さんが完全無農薬・無肥料(自然農法)で育てたリンゴが話題になり「奇跡のリンゴ」と呼ばれ、書籍がベストセラーになったのは、まだ記憶に新しいのではないでしょうか?
今回の醤油は「他にはない素材で作ろう」とその木村さんに土作りから指導を受けた弟子、折笠健さんに大豆と小麦を依頼しました。
「大地に有る栄養だけで大豆や小麦が育つ」という考えから、農業はもちろんのこと肥料すら与えない栽培は困難を極め、収穫できた素材はなんと当初予定していた1/6。まさに奇跡の大豆と小麦です。
<素材の味を際立たせる醤油>
「魯山人の醤油」の肝心の味ですが、旨み成分(アミノ酸窒素)が通常の醤油の1.6倍と、かなり旨みの高い醤油です。添加物を加えた醤油とは違う自然な甘みとまろやかな風味は、魯山人の「美味しいものをたべるのではなく、美味しく食べる」の言葉通り素材の味を最大限に際立たせます。
白身魚などのお刺身に漬けても、煮物はもちろん、酢や油、薬味との相性も良いので焼く・蒸す・上げるなど和洋中のあらゆる調味に。
<昔と同じ醸造法>
現在のしょうゆは大豆・小麦・塩で作りますが、昔は米も使っていたんです。(+添加物を加えているものが多い)
そこで今回は、奇跡の大豆と小麦に加え、奇跡のりんごで有名な木村秋則さんの弟子で北海道芦別市の太田拓寿さんが育てた、無農薬・無肥料の『ゆめぴりか』を使用。いまではステンレスが主流になっているのですが、昔ながらの木桶で仕込み、熟成させて醤油を誕生させます。
本来なら1年以上寝かせるのですが、「魯山人の醤油」は従来の濃口醤油よりも上品な薄い色に仕上がったので、8か月熟成させてまろやかな味わいを醸し出させました。