カステラの探求者として家伝の製法と原料の精進に情熱をかけていた八代目の貞次郎は、当時新しい甘味として珍重されていたチョコレートに心惹かれました。
伝統のカステラに、新しい美味しさを加えることはできないか。研究熱心で創作菓子の名人でもあった彼は試行錯誤を繰り返し、その志を受け継いだ九代目健市によって、明治年間より創案されていたオリジナルカステラが完成します。 チョコチップ カステラの上品な風味と、チョコレートのモダンな風味とが引き立て合うことで生まれた新しい味わい。
八代目貞次郎の情熱は、松翁軒のオリジナルカステラ「チョコラーテ」として結実し、その深くまろやかな甘味と共に現代に伝わっています。
その美味しさの秘密は、原料にチョコレートパウダーではなく、カステラに合わせて特注した板チョコレートを使うことにあります。もちろんパウダーと違い、板チョコの方が手間もかかり、焼き上げが難しいのも事実。しかし、本物の美味しさの追求に手間は惜しむわけにはいきません。
伝統の上に花開いた、長崎の元祖チョコレートカステラ。明治より当代に伝わるその甘味を、どうぞご堪能ください。