ことの起こりは元弘三年、後醍醐天皇を、隠岐島より船上山にお迎えした名和長年公が、甘茶団子をさしあげたという故事を伝え聞いた、ときは明治十三年、初代の石谷すま女によって創業とあいなりました。当初は餡をまぶしただけの団子でございましたが、明治の中ほどから今の姿となりました。
地元の糯米粉に蜜を入れ、練って、蒸して、また練って、更に蒸すこと八時間。こうして出来あがった餅を、手亡の白餡、小豆餡、抹茶餡の三種で包み、なんとも素朴で愛らしい三色串団子の出来あがりでございます。
四代目の石谷文海にいたっては、気に入らぬ餡が出来ようものなら即座に捨てるほど、味にはこだわりを持っていたと申します。創業以来、はや百二十数年、添加物を一切使わず、だんご作りただ一筋に今日まで、変わらぬ風味を守り通しております。