浜口福月堂商品名の由来、野根とは高知県安芸郡東洋町の地名。古くより地元の人々によって愛されていた無名の蒸しまんじゅう。
片田舎の銘菓には、土地に根付き、代々家業として受け継がれている長い歴史と、心なごむ、あったかい物語が詰まっています。
昭和二十五年天皇陛下、土佐路御来高の折、室戸山田邸で土地を代表する名物として献上の栄を賜わる。以来その地名を取って、後に『野根まんじゅう』という名で親しまれるようになりました。野根まんじゅう野根まんじゅうを、高知県全域に愛される銘菓として世に出していただいた室戸山田邸。元来天皇陛下のご休憩に献上されるお菓子は現在のように地方の銘菓ではなく京菓子等が慣わしの中、名も無い地方のまんじゅうをお役人の反対を押し切り御献上いただいた当地の旧家の地場産品への誇り、山田氏こそが野根まんじゅうの創始者であると、五代目当主、浜口伸二は語ります。
『野根まんじゅう』は浜口福月堂の登録商標でありながら、現在は複数の製造者によって同一品名の菓子が販売されています。このことからもその完成度と人気の高さをはかり知ることができます。高知の野根という地名を大切に、それぞれの生産者の熱き思いが微妙に異なり味に現れる、いくつもの野根まんじゅう。それぞれの商品に対する熱き思い入れ、販売に至る歴史も異なっています。
製造の歴史も古く、片田舎の事ゆえ史実に実証の無い逸話も多数あります。その中で室戸山田邸の女将さんは、『天皇陛下御献上の御品は浜口福月堂野根まんに間違いなし。』と証言されています。野根の地、野根の人々を愛する浜口福月堂の大切にしているものがよく見える史実です。